映画「神様のカルテ」    監督:深川栄洋  主演:櫻井翔、宮崎あおい

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  いい映画だ。
  日本の医療が抱える問題点をわかりやすく、かつ、すがすがしく伝えてくる映画。
  1978年に御生まれの原作者は現役の医師。当事者だから、うそが無い。

  24時間、救急外来の受け入れを目指す、本庄病院が映画の舞台だ。
  医師や看護師の人数や、ベッド数、診療科の数、どれもが少ない小規模病院のようだが、医師や看護師の力量・意欲は、そこらへんの病院に決して負けない。
  主人公・栗原(櫻井翔)は本庄病院の内科医。5年目だ。この病院の不思議に、彼が夜間の救急外来担当になる日は、決まって外来患者が多い。だから栗原が担当する日に当直の看護師は身構える。そら、また救急車が来た。院内はごった返している。

医師  栗原が日々、師と仰いでいるのは、内科部長の貫田(柄本明)、通称「大狸先生」。信濃医大の先輩でもあり、本庄病院を今ある姿にしているのは、たぶん、この大狸先生だ。でも、日頃は、のらりくらりの勤務態度。
廊下0  大狸先生の医大同期生で、飲み友達でもある信濃医大・高山教授(西岡徳馬)は、おおいに出世して医局のボス。今や飛ぶ鳥も落とす権勢だ。この医大出身者で上昇志向のある医師は誰もが、高山教授にひれ伏す。
  そんな高山教授が、栗原に注目しだした。「いかにも大狸が育てた人材だ、医師として素性がいい。」 高山教授は栗原に言う、大学に戻って医局に入って欲しいと。誰もが憧れる願ってもないチャンスだが、栗原は悩んだ末に断りの返事を返した。
  院内の医師たちは、栗原の選択に大いに驚いたが、大狸先生は、「あ、そう」と、さもあらんといった反応だった。そして高山教授も同じ反応だった。栗原は、大狸によく似ている・・・。


家  栗原の住む所は、丘の上にある木造の建物だが、なにか変だ。
  御嶽荘という。入り口はガラスを大きくとった引き戸で、ガラスに名が入っている。玄関の三和土は広いし、応接セットがあるスペースが正面にある。まるで元・旅館だ。
  ここに自称・画家に自称・万年大学生という変人たちと、栗原夫妻が住んでいる。そう、栗原は妻帯者。妻・榛名(宮崎あおい)はフォトグラファーだ。この夫婦に漂う雰囲気は、ほんのり、ゆったりしていて、いつも言葉すくなだが、十分に意思疎通がとれている。もちろん相思相愛。
  勤務医の労働環境は、どこの病院でも過酷と言っていい。心身ともに疲れ切ってしまう。栗原がまっとうに毎日を過ごせているのは、妻の人柄、愛妻弁当、そして御嶽荘の浮世離れした生活環境のおかげのようだ。

がん  さて、ある日、栗原の評判を頼って、ひとりの女性患者が訪れた。
  安曇(加賀まりこ)という、胆のうがん患者だ。彼女は信濃医大病院で診察を受けたが、現代医学ではもう対処できないと言われ入院さえできなかった。つまりは、末期のがん患者に対する終末期医療および看護を大学病院じゃ、行わないという事だ。見捨てられたかのようなこの患者は、涙を浮かべ助けて欲しいと、本庄病院に来院し栗原医師にすがったわけだ。

  彼女は知っている。もう誰も私を治せない事を。
  ただ、今、欲しいのは、あたたかな眼差しであった。

  
  患者にとって、いい医師とは? をテーマにした映画。櫻井くんの、つぶやくようなセリフがいい。

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監督:深川栄洋|2011年|128分|
原作:夏川草介|脚本:後藤法子|撮影:山田康介|
出演:栗原一止(櫻井翔・嵐)|栗原榛名 (宮崎あおい)|
貫田・本庄病院内科部長・大狸先生(柄本明)|高山・信濃医大教授(西岡徳馬)|
安曇・胆のうがん患者(加賀まりこ)|東西・本庄病院病棟主任看護師(池脇千鶴)|外村・本庄病院救急外来看護師長(吉瀬美智子)|水無・本庄病院看護師(朝倉あき)|砂山・本庄病院外科医(要潤)|
通称:男爵~御嶽荘の大家、自称画家(原田泰造)|通称:学士殿~御嶽荘住人、自称・万年大学生(岡田義徳)|中山卓也|梅沢昌代|斎藤歩|でんでん|山下容莉枝|左右田一平|今井和子|春延朋也|野間口徹|金子さやか|関根洋子|太田美恵|澤山薫|當島未来|山野海|梶原阿貴|内田滋|北山雅康|駿河太郎|松本実|山口朋華|諌山幸治|もたい陽子|

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