映画「USB」  監督:奥秀太郎

上

  治験協力者の一群が、病棟の廊下を行く。
被ばく  コップに入ったある薬剤を飲んで、ひとりずつ専用の密室で被ばくする。

  いろんな事情で、まとまった金が欲しい人々が、治験(治療の臨床試験)に応募してくる。危険度が高い治験ほど、金額がいい。 祐一郎(渡辺一志)も応募して被ばく室に入った。


家  祐一郎は、医者の家の子だ。医大を目指す浪人5年生。 父親は死んだが、母親はいたって普通の母親(桃井かおり)。息子のために毎日弁当を作る。
  頭が悪いわけじゃなさそうだ。自身でも医師になる気がないわけじゃない。その気になったら合格するつもりらしい。だから、たまには予備校に行く。さらには、予備校生の彼女(小野まりえ)がいて、授業を録画してもらう。



ボス  祐一郎は、地場のヤクザ・大橋組に借金がある。ある日、事務所に行くと、大橋組のボス(大杉漣)からビニール袋に入った白い粉を渡される。売ってこいや。ボスは、何事にも動じない祐一郎の気質をかっている。 医大向け予備校には金持ちのボンボンが多いらしい。小分けした袋がさばけたが、完済には程遠い。
  彼女が妊娠した。やっぱり、まとまった金がいる。治験の話は、幼なじみの悪仲間らからきいていた。
裕一郎
  さて、こいつらが、ドラッグ売買で大橋組といざこざを起こしていた。
  祐一郎は、まるで、大橋組の組員に言われるままのように悪仲間を射殺した。
  大橋組のボスや祐一郎の彼女や母親など彼の周りの人々は、感じていた。祐一郎の非日常が、静かにだが、日ごとに、エスカレートしていく。

  
  
レントゲン  祐一郎と妊娠している彼女は、病院のレントゲン室で、何度もX線を浴び、被ばくを繰り返す。
  祐一郎は、こうして被ばくの現実を噛みしめている。いま、彼女もその腹の子も被ばくしている。
  なぜ? 祐一郎はこうも自虐的になっていくのか・・・。
  祐一郎の家は裕福だ。目先、組に借金を返し、医師になれば人並み以上の生活が保障されているといえるのに。

  映画の冒頭で述べられる。
    1999年9月、茨城県東海村の、
    原子力施設で臨界事故が発生・・・。
 
  祐一郎が住むこの一帯は、不幸にも、放射能汚染が広がっているのであった。


  2011年3月11日以前の映画製作である。 
  なんといっても、祐一郎を演じる渡辺一志が光る!
  鋭利な映像はなかなかいいが、脚本が弱い。渡辺一志が映画を支えた。
  桃井かおりを生かし切れていない。野田秀樹演ずるエピソードが中途半端だ。
  惜しいな。期待したい。 


下監督:奥秀太郎|2009年|95分|
撮影:与那覇政之|
出演:渡辺一志 (祐一郎)|桃井かおり (祐一郎の母親)|
峯田和伸 (甲斐)|大森南朋 (信一)|大杉漣 (大橋組のボス)|野田秀樹 (藤森)|小野まりえ (真下恵子)|岸建太朗 (南部)|江本純子 (あや)|羽鳥名美子|金子満文|


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