映画「冬冬の夏休み (トントン)」 監督:ホウ・シャオシェン

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毎年、夏休みになると、田舎のおじいちゃんの家に行った。
一族の長として、静かな威厳を漂わせている、おじいちゃんの家は、大きくて、部屋や廊下は涼しいくらいに、凛としていた。

0下しかし、家を一歩出れば、そこは盛夏。
川で泳ぎ、野で遊ぶ。都会じゃ味わえない時間。冬冬(トントン)の一日は、あっという間に過ぎていく。

妹妹の婷婷(ティンティン)は、兄の冬冬(トントン)たち男子について行くのであったが、やはりまだ幼い。だから、縫いぐるみ相手にひとり遊びをしていた。
しかし、村のひとりの女性と心が通じ合えるようになった。いろいろと教えてくれる。嬉しい。そして、のちに婷婷(ティンティン)は彼女に救われることになる。そんな彼女、実は、精神障がい者で、村の男たちの慰みものになっていた。当時の田舎はそんなだった。

映画は、この子達を中心に据えながら、村の大人たちの出来事も、トツトツとした語り口で語って行く。小細工はまったく無い。王道を行く。
久方ぶりにこの映画を観た。たっぷりとした時の流れが、今もこの作品に内包されている事が、とてもうれしい。台湾の、この田舎の畑や土の香り、川のせせらぎがいきいきと伝わってくる。そして、村に住む人々の、幾多の喜怒哀楽が、吹く風の合間に、じんわりと伝わってくる。 
さり気ない風情ですが、すごく、いい映画だ。

児童文学作家の石井桃子さんの言葉を思い起こす。
子どもたちよ
子ども時代をしっかりと楽しんでください
おとなになってから 老人になってから
あなたを支えてくれるのは 子ども時代の「あなた」です。

兄妹の母は入院中。
叔父が2人を田舎に連れて行くことになるが・・・。
(写真左奥から:叔父の恋人、叔父、父親)

サブ母オリジナル・タイトル:冬冬的暇期
英題:A Summer at Grandpa's
監督:ホウ・シャオシェン|台湾|1984年|98分|
原作:チュウ・ティエンウェン|脚本・脚色:チュウ・ティエンウェン、ホウ・シャオシェン|撮影:チェン・クンホウ|
出演:冬冬(トントン):王啓光(ワン・チークァン)|婷婷(ティンティン):李淑楨(リー・ジュジェン)|
おじいちゃん:古軍(グー・ジュン)|おばあちゃん:梅芳(メイ・ファン)|叔父:陳博正(チェン・ボーチョン)|叔父の恋人:林秀玲(リン・シウリン)|寒子(ハンズ):楊麗音(ヤン・リーイン)|阿正國:顔正國(イエン・チョンクオ)|トントン/ティンティンのお母さん:丁乃竺(ティン・ナイチュー)|お父さん:楊徳昌(エドワード・ヤン)|
車中

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ホウ・シャオシェン監督の映画
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 ホウ・シャオシェン監督の映画 ~ 一夜一話からのお薦め

  「風櫃の少年 (フンクイ) 」 

  主人公アーチンとその仲間は、海に面して潮風にさらされたビリヤードテーブルを囲んでいる。それ以外にやることといえば、煙草を吸って酒を呑んで、島の映画館に忍び込んだり、他人にチョッカイかけて、ケンカして、そんな毎日だ。それぞれの親も周りも、もう諦めている。
  ただ、諦めきれないのは、実はアーチンたちだった。この島に飽き飽きしていたし、いつまでも馬鹿やってられない。島の港から出ている連絡船にのって、アーチン、アーロン、グォズ、三人そろって高雄へ家出した・・・。
  台湾島の西方50km、中国との間、台湾海峡上にポツンとる島、澎湖島。
  この不思議な形の島の、細長い岬の先に「風櫃」というところがある。

 夏休みの映画 ~ 一夜一話からのお薦め

  「鉄塔武蔵野線」

  小学校の男の子がふたり、自転車に乗って、送電の川上に向かって、鉄塔をたどって行く、
  それだけの話ですが・・・。
  小学校時代の夏休みは、特別な体験が出来る不思議な時期です。
  そんな不思議のひとつやふたつ、お持ちですか?

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