映画「空の穴」  監督:熊切和嘉

上

  さらっとした、いい映画。
  放蕩息子とは言うが、木下家の場合は、放蕩父親だ。父親は年中、日本中を車で遊び回って帰って来ない。だから、一人息子の市夫(寺島進)は、親が作ったドライブイン「空の穴」をひとりで切り盛りしている。はっきり言えば、ひとりで切り盛りできるほどしか、繁盛していない。

市夫  「空の穴」は北海道の片田舎にある。近くに人家はない。空気だけはいい。晴れた日は、空が抜けるように青い。
  市夫の日課は規則正しい。早朝にジョギング、食材の仕入れ、仕込み、そして昼間は客がほとんど来ないのでボーっとしている。目の前の道路を時々車が通るだけ。夜は賑わう。市夫はこうした繰り返しの毎日を何年も送っているが、特に不満は無い。だが30歳過ぎの独身だ、ボーっとしている時に漠然とした不安を感じる時もある。

左  そんなある日・・・、で映画話は始まる。
  市夫の、漠然とした領域に、突然、女が飛び込んできた。香山妙子(菊地百合子)は、彼氏とドライブ旅行中に置いて行かれた東京の女だ。所持金なし。ハンドバックのひとつも無し。あても無し。とうざ、することも無し。そんなことで「空の穴」のバイトとなった。
  「空の穴」は店舗兼住居だ。市夫はここで父と自然の中で育った。ワルに染まらずここまで来た、彼女もいない、じゃぁ、単純に純粋無垢か、それでは話がうすっぺらになってしまう。30過ぎの男の設定ですから、ここが役柄的に一番のキモになる。さて寺島進は・・・。
  市夫はバイトの女性の扱いはでき、妙子はバイト女性風に働きはできるが、ひとつ屋根の下、ふたりは徐々に・・・そして・・・。

厨房






監督:熊切和嘉|2001年|127分|
脚本:熊切和嘉、穐月彦|撮影:橋本清明|
出演:寺島進 (木下市夫)|菊地百合子 (香山妙子)|外波山文明 (木下旭)|澤田俊輔 (内田登)|権藤俊輔 (山崎)|きいちめぐみ (女子高生)|矢島美鶴 (リポーター)|辰巳裕二 (若者)|田口雄介 (若者)|久保和明 (空の穴の客)|内山裕子 (成田雪子)|時任歩 (市夫の母)|片寄晴則 (成田)|佐久間孝 (富山)|桑原淳 (修理工)|熊切澪 (幼い市夫)|箱崎君子 (農婦)|熊切和嘉 (若き日の市夫)|木田茂 (青年団員)|野尻克己 (青年団員)|熊切豪 (青年団員)|岩渕正樹 (青年団員)|大伴健太郎 (青年団員)|渡辺みどり (青年団員)|

下

妙子


◆ 熊切和嘉・監督の映画 ~ 一夜一話より
紹介「海炭市叙景」

  こりゃいい! お薦めです。
  腰を据えて、じっくり撮りましたね。近年の邦画になかった、しっかりした作りの映画です。
  まず、映画の舞台である海炭市(架空)の街が、よく練って描かれていて揺らぎがない。 いくつもの話が交錯するが、この街(舞台)の表現がとてもしっかりしている・・・。
  ◆ 「海炭市叙景」へは、こちらから


こちらで、本作のような「静かな映画」(邦画編)を
厳選し、まとめています。
キャプチャ250-1 (2)-1


熊切和嘉 監督の映画
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空の穴
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揮発性の女
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海炭市叙景


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