映画「現代インチキ物語 騙し屋 (だましや)」    監督:増村保造

上
宝焼酎で、牛なべをつつく。 「それ牛やあらへんで。」
手前左から:犬塚弘、曽我廼家明蝶、丸井太郎
奥・左から:園佳也子、船越英二、伊藤雄之助


だまし屋。口達者。舌先三寸とは言え、これは、世事や俗事に疎いとやっていけぬ職業だ。
世間を読んで、相手の心を見透かし、臨機応変、大胆に実行する。
「泥棒とちゃうでぇ。 相手の納得ずくで金を払わせるんや。」

<劇場型犯罪>
沖縄から出て来た初心な学生と、返還前の沖縄なんて事を言う工事現場の男。(伊藤雄之助)
まんまと通行人から金2000円を巻き上げる。大阪の路上にて。新発売のハイライト70円。

路上  
時代は1960年代前半、高度成長期と言われた頃。
池田首相、所得倍増計画を発表。東海道新幹線開通。東京オリンピック開催。名神高速道路の栗東 - 尼崎が開通。大阪環状線全通。カラーテレビ放送開始。大鵬と柏戸が同時に横綱に。馬場と猪木がデビュー。「鉄腕アトム」放送開始。ダッコちゃん大ヒット。坂本九「上を向いて歩こう」。日産セドリック。パブリカ、コロナ。キャロル360。ハイライト発売。大正製薬「リポビタンD」発売。エースコック「ワンタンメン」。
一方、激しく時代は動く。
改定安保条約批准阻止の全学連7000人が国会突入。樺美智子死亡。浅沼稲次郎が右翼少年に暗殺される。岸信介首相が暴漢の襲撃を受け重傷。四日市ぜんそくが発生。ベルリンの壁。ケネディ大統領暗殺される。フランスが初の核実験。中華人民共和国が初の核実験。ソ連が史上最大の水爆実験。大韓民国で、朴正煕ら軍事革命委員会によるクーデター。1965年には、米国が北ベトナムを北爆。翌1966年、中華人民共和国、文化大革命。
なんと激動の時代だろう! だから、こやつらの悪事、実にささいな。大きな波頭の縮緬雑魚のよう。
ベテランの俳優たちの、実になめらかなセリフまわしが、映画の流れを作っている。


古道具屋監督:増村保造|1964年|89分|
脚本:藤本義一、沢村勉|撮影:小林節雄|
出演:カマキリ (曽我廼家明蝶)|赤とんぼ (伊藤雄之助)|河豚 (船越英二)|ちょこ松 (丸井太郎)|胡瓜 (犬塚弘)|ムツコ (園佳也子)|襟子 (弓恵子)|木村 (中条静夫)|崎 (小山内淳)|



◆ 「猫と鰹節  ~ ある詐話師の物語」  監督:堀川弘通 ~ 一夜一話より

似た映画に、「猫と鰹節  ~ ある詐話師の物語」 1961年がある。
こちらの方は、額が大きい仕事だ。一けた二けた違う。
舞台は同じく大阪で、やはり貸衣装屋が大切な役目を果たす。

紹介大阪を舞台に、こてこてに泥臭いお笑いコメディ。
喜劇のプロたちの腕前を堪能しましょう。
詐話師(さわし)とは、誠しやかな作り話で誘い、まとまった金銭を被害者の目の前でサラリと強奪する詐欺(さぎ)専門家。話に乗せられた被害者は、その直後に我に気付く、がもう遅い。カモに数人の詐話師が絡む場合は、「劇団型犯罪」というらしい。というわけで映画はご丁寧にも、カモに一人の詐話師の場合の犯罪例と、劇団型犯罪例を楽しく見せてくれる。
新世界(通天閣)辺りじゃ顔の白神善六(森繁)が、岡山から来たばかりの行商人(西村晃)から300,000円を釣り上げようと・・・。
◆ 「猫と鰹節  ~ ある詐話師の物語」は、こちらから



大阪を舞台にした映画をここに集めました。
大阪
(兵庫・和歌山・奈良も含めました)


増村保造 監督の映画
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大地の子守歌
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青空娘
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女経
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現代インチキ物語 騙し屋
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くちづけ


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