「静かな映画」 取扱い注意 邦画編
2010年01月01日 公開

ガラスのように、壊れやすい映画ってある。
繊細で華奢で、語る声が小さい。
心ない誰かが、「辛気臭くて、つまんない。」と言った瞬間に、壊れてしまう。
心静かな時に観る。
例えば、ひとりの深夜。風邪で休んだ微熱ある日。
とりわけ空が群青色の夜明け時。
そんな、少し異次元な、上澄みな時間に観るといい。
心乱れている時には、観ない。
映画館に走り込んだり、仕事やもめ事がまだ頭に残っている時。

稲子(唯野未歩子)は、無口な一人っ子。
山形県米沢で市役所に勤めている。一人住まい。実家は和歌山で、母・澄江(松坂慶子)がカメラ店を継いでいる。
稲子に父親はいない。 稲子の父は、稲子が幼い頃にブラジルのサンパウロに渡って行った。そして彼の地で事故に会い死亡した。母や親戚から、そう聞かされてきた。葬儀は挙げずじまいで今に至っている。17年経った。
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志木栄子は幼い頃から、風の音(ね)、鈴の音(ね)といった音に興味を持つ子だった。ピアノの音が好きで調律師の道を目指す。
詩ですね。遠くの景色を眺めながら、詩人と話をした感じ。
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題名の柔らかな響きが気に入りました。
東京都江東区常盤のあたりでしょうか、こじんまりした商店街の、脇を入ったところにある豆腐屋が映画の舞台です。父親と、主人公で一人娘・朝子のふたり、二人三脚で店をやっている。母親は早くに亡くしたようです。
夜明け前、商店街の街灯が連なって静かに灯っている。豆腐屋の朝はとても早い。
朝子の仕事は、仕込みの補助と、自転車で街に出て豆腐を売り歩く。そう、豆腐屋のあのラッパを吹く。吹くが、ラッパの音の「トーフー」の「フー」、つまりラッパを吸い込む息が弱いので、「トーフッ」になってしまう。
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「空の穴」は北海道の片田舎にある。近くに人家はない。空気だけはいい。晴れた日は、空が抜けるように青い。
市夫の日課は規則正しい。早朝にジョギング、食材の仕入れ、仕込み、そして昼間は客がほとんど来ないのでボーっとしている。目の前の道路を時々車が通るだけ。夜は賑わう。市夫はこうした繰り返しの毎日を何年も送っているが、特に不満は無い。だが30歳過ぎの独身だ、ボーっとしている時に漠然とした不安を感じる時もある。
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手触り感ある映画。生成りの、きめの粗い布の肌触り。 役者の演技も、音楽も。
奥原監督と、役・音楽を担当する青柳拓次、この2人の仕事。これに市川実日子が味を添える。
全体にセリフが少ない。セリフの間や、沈黙シーンの時間が長い。あての無い何かを待っている。
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甘口の青春映画です。
しかし、がっしり構えたフレームと計算された構図の中を、精いっぱいがんばる高橋洋子が、たどたどしくも、まぶしい。
16歳の少女が、夏の空の下、四国遍路の旅に出た。
さまざまな人々と接し、多くを学べる吸収力は若さゆえ。そして、みずから終止符を打って旅は終わる。体調をくずした少女を助けた年上の漁師の家に、彼女は住みつくことになる。
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発電所も気になるが、送電も気にしてみたい。
そして何より、夏の映画が好きです。
小学校の男の子がふたり、自転車に乗って、送電の川上に向かって、鉄塔をたどって行く、それだけの話ですが。小学校時代の夏休みは、特別な体験が出来る不思議な時期です。 続きは、こちらからどうぞ。

「ごはん、食べてく?」
艶子59歳(りりィ)は、孫のような、悩み多き美香13歳に声をかけた。誰がみても家出中という格好。「銀髪のこの子、ちょっと、ほっとけない感じ。」 と艶子は思う。
それぞれに悩む女たちが主人公。
そして、それぞれが乗り越えていく時に、ちょっとしたきっかけを与えてくれる天使が要る。
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結局、就活がうまくいかなかった短大卒の鈴子(蒼井優)。ここに居づらい。とにかく百万円貯めて、家を出るんだ。そして、海が見える二階に部屋を借りれた。夏の海水浴場、海の家で働く。減った貯金がまた百万円になり、今度は山、桃の生産農家に住込みで収穫を手伝う。 孤独な、この浮遊感が気持ちいい。そこが海、そこが山、それぞれ浮遊感の色合いが変わった。 ある日、彼に出会った。亮平を好きかもしれない。そう思ったとき鈴子は、心の隅に抑え込んで来た悲しい気持ちが、ほどけ始める気配を感じるのであった。 続きは、こちらからどうぞ。 2014.4.4追加

自分を、懸命にしょい込んでいるふたり。
フリーライターと長距離トラック運転手。
似た二人。ああ、切ないくらいにマジメなふたりだ。
女は精神的に追い込まれていて、嘔吐が絶えない。
頭の中では、もうひとりの声が饒舌。
深夜のコンビニで始まり、同じコンビニで終わる、このトラックの旅は、饒舌な声が語った一瞬の夢なのかもしれない。 続きは、こちらからどうぞ。

元妻から突如、哲郎に連絡があった。妻が事故で入院、子ども・俊介の面倒をみて欲しい、と。 哲郎(三浦友和)は同居の女性アキに相談なく、俊介を家に引き取った。ムッツリするアキ。だが、アキも段々と俊介の世話をするようになる。いいおねえさんになろうと懸命なアキ。哲郎には、3人が仲睦まじいファミリーにみえ始めた。
しかし、彼女のこころには、「なんで私が俊介の世話をしなきゃならないのよ」 自分の仕事を犠牲にしたくない、という不満で心は揺れ動く。ついに爆発。アキはひとりで住む部屋を探し始める。
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ゆみ子が抱えてしまった、この突然の喪失感はあまりにも大きかった。それは、夫の死を悲しむ悲しみよりも重く、心の奥底に沈んで行った。 時が経った。アパートの大家の紹介で再婚が決まる。再婚相手は、能登半島・輪島の小さな漁村に住む民雄(内藤剛志)という男。民雄も妻を亡くしていた。引越しと先方の受入れが淡々とすすみ、ゆみ子は息子の勇一を連れ、ボストンバッグひとつで輪島行の列車に乗った。
民雄の家は、すぐ前がもう海だった。祝言を挙げ、日は瞬く間に過ぎていく。ゆみ子と勇一、民雄と友子は、ひとつの家族になって行く。だが・・・。 続きは、こちらからどうぞ。 2014.4.4追加

何でもない映画だが、最後まで観てしまった。
澄んだ気持ちの時に観ましょう。
ふたりの主人公、中学生の女の子と幼い女の子の、悲しくも柔らかい気持ちに寄り添ってあげてください。
中学生の高槻美奈子(寺島咲)が、小学一年生の長原優に「海に行こう」と誘った。家出だ。
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あるマンションに住む人達を、彼らの目線で一人ひとり丁寧に素描していく。
懸命に生きる彼らの様子は、端から見れば笑ってしまう。
登場人物の中に、観客と同じ視線を持つ女性がいる。このマンションのオーナー兼管理人だ。 この女性はひとり身。住人たちとまんべんなく接するのが仕事だ。住人間のクレーム処理を穏やかに収めたり、それとなく個々の近況を把握したり、話し相手になったり、マンション近隣からの苦情を提供したり、もちろん家賃の催促も。いつも静かなしゃべりの女性だ。
彼女、ホラー好き。渋谷広介(永瀬正敏)が好き。ビデオレンタル店で偶然に出会った。そして彼女は、
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小さな島の港にある、木造船だけを作って来た造船所が、話の舞台だ。
造船所と言っても、ひとりの船大工の作業場だ。小さな岬の先にある。
時代の流れだ、木造船の引き合いが途絶えてもう久しい。
ある時から、誰の注文でもない船を、それも帆船を、船大工のじいさんは造り始めた。 実は過去に大きな借金をして、持ち金は底をついている、そんなじいさんの、至って無口な日々。
スズエは、じいさんの孫娘。通う高校を途中にして、この島でじいさんとふたり暮らし。
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こちらで、以上のような「静かな映画」の洋画編を
厳選し、まとめています。
厳選し、まとめています。
【 一夜一話の歩き方 】
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