映画「卵」  監督:セミフ・カプランオール

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  主人公の男・ユスフはトルコで名の知れた詩人だが、近年はスランプで作品発表がない。
  ユスフはイスタンブールで古本屋を開業していて、店の売り上げで生活費を工面している。
  映画冒頭で店内シーンがあるが、商売っ気はなく店の奥で沈んでいる。何やら深く気を病んでいる様子。あとで分かるが彼は離婚して現在独身で、病を患っている様子。
実家  そんな彼に故郷から母の訃報が入る。何年も母に会っていない。トルコ東部のティレという都市。実に久しぶりに故郷に帰り葬儀を済ませた。その晩、実家に泊まる。5年間もの間、住込みで母の身の回りをみて来た、親戚の女性アイラがユスフにチャイを出し出迎える。翌朝の朝食時、アイラは卵が必要だったが、その日に限って庭の鶏の卵がなかった。これがタイトル名どおり伏線になる。

湖  ユスフはアイラから母の言い残したことを聞く。羊をいけにえにするイスラムの儀式。生前、母は息子とこの儀式を行う事を強く望んでいたらしい。結局、ユスフは母とすべきであった旅を、アイラを伴い出発する。羊飼いから羊を買い、いけにえ専用のの場所で儀式を行った。あわせて、母以上に長い間、会っていない親戚の家も訪れた。そこではアイラを新妻と勘違いされる。ユスフが愛する湖にも行った。
  
卵
  すべての事を終えたユスフは、その日、車をイスタンブールへ走らせたが、途中で引き返す。ふたりに愛が芽生えていた。
  実家に戻ったユスフが食卓にいると、アイラが卵を差し出した。今朝は庭の鶏がふたりのために卵を産んでいた。

食卓
  ユスフとアイラの話を軸に、ユスフの元妻とのエピソード、アイラと彼氏とのエピソードが織りなされる。さらには、精神状態がすぐれないユスフがみる悪夢のイメージシーンや、トルコ東部の大気や大地の映像詩的シーンが、この映画をふくよかなものにしている。



ティレオリジナル・タイトル:Yumurta

監督:セミフ・カプランオール|トルコ、ギリシャ|2007年|97分|
脚本:セミフ・カプランオール、オルチュン・コクサル|撮影:オズグル・エケン|
出演:ネジャット・イシュレル(Yusuf)|サーデット・イシル・アクソイ(Ayla)|ウフク・バイラクタル|トゥリン・オセン|


アイラの表情が野性的で、いい!
アイラ


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やまなか
Posted byやまなか

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