映画 トルパン|ギフト・トゥ・スターリン|マイ・ディア・チルドレン |カザフスタン映画特集

カザフスタン映画特集
カザフ・ニューウェーブから20年 ~ カザフスタン映画上映実行委員会/シネマ・マネジメント・ワークショップ2009
アテネ・フランセで3本連続で観てきました。ふー。
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『トルパン』  Tulpan  
監督:セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ 2008年/カザフ語・ロシア語

現在のカザフスタン、草原のど真ん中。360度見渡す限り地平線。ひつじ飼いを束ねるボスから、結婚すればひつじを分けてやると言われた主人公は嫁探しをするが、この広大な地域で未婚女性はただ一人!姉のご主人を通して結婚申し込みに向かうが断られる。主人公は街の生活はこりごり、この地でひつじ飼いになりたい。夢ならず、姉の一家に居候するしか当座生きる道はない。
日本の過疎地域の結婚問題以上に大変だ。ま、しかし映画に悲壮感はない。ゆるゆるした時間が流れる映画。結婚申し込みの時に主人公が向こうの両親に話すバカ話の可笑しさ、友人が運転するトラクターの爆音、それをも打ち消すほどのカーステレオのボリューム。これらと天びんにかかるのは、ひつじ飼いの口数の少なさ、天地の間に何も無い圧倒的に静かな草原だ。あとは、ひつじ、ろば、らくだ、犬の鳴き声。カザフスタンの草原地帯の今を感じることが出来る映画だ。




少年ちらし b49cab6396bd『ギフト・トゥ・スターリン』  Podarok Stalinu 
監督:ルステム・アブドラシェフ 2008年/ロシア語・カザフ語・ヘブライ語

この映画はカザフスタンという国の背景を知らないと分からない。(このページ下で白地図書いて勉強した)
とにかく、この地はソ連(スターリン)にとって排斥すべき人種の強制移住先であった。ユダヤ人を乗せた貨車の中で唯一の家族、祖父に死にわかれた少年を、複数の死体に紛れ込ませて極秘に逃がそうとする同乗のユダヤ人たち、その意図を無言で見抜いた死体処理のカザフ人。話はここから始まる。

ユダヤ少年をカザフ人、ロシア人政治犯の妻、ドイツ人、朝鮮人たちが助け育てるが、地域の絶大権力、ソ連軍将校たちの無法で無差別な迫害を受ける中、少年は孤児院に向かう。その後、この地で密かに進行していた原爆実験が行われ多くの死者を出した。少年は大人になりこの地を訪れる。
カザフスタンの歴史を垣間見れる映画だ。

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マイopy1『マイ・ディア・チルドレン』  Dorogie moi deti 
監督:ジャナ・イサバエヴァ 2008年/カザフ語

都会に出た兄妹4人、繊維商社に勤める賃貸マンション住まいのサラリーマンの次男、夫に逃げられ女手で二子を育てる生肉工場勤務非正規雇用労働者の長女、裕福な家に嫁ぎ姑や夫にいじめられる一子を出産したばかりの末娘、離婚後まちのマーケット内でボスの下で荷運びを営むその日暮らしの長男。田舎にいる三男の結婚式費用を徴収すべく子達を訪ね歩く母親。この国の、田舎の伝統と都会生活の現代が分かる。明るく時にダンサブルで軽妙に描かれた映画だ。
わたし的には3本中、本作が一番気に入った。

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地図IMG今年、日本人宇宙飛行士を乗せたロシアの「ソユーズ」が着地した草原が、カザフスタン。地図を見ると、国の東端は、中国(新疆ウイグル自治区)そして西端はなんとカスピ海!!国土は日本の7倍以上。人口は8分の1。人口密度は5.9人/平方キロ。
こういった人口が薄く平原が広がる地は帝政ロシア時代・ロシア革命期には移民や流刑地に適地とされ多くの強制収用所が作られ、またスターリン時代には原爆製造工場や幾度も原爆実験地となった。被爆問題はチェルノブイリだけじゃない。
日本兵のシベリア抑留も一括して語られるが実はその一部はここカザフスタンであった。



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やまなか
Posted byやまなか

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