映画「新世界の夜明け」・「The Collector」・「Bunohan」 マレーシア映画祭のまとめ「シネ・マレーシア2013★マレーシア映画の現在」
2013年06月23日 公開
マレーシア映画祭のまとめです。
「シネ・マレーシア2013★マレーシア映画の現在」 ということで、オーディトリウム渋谷で開催されました。
公式サイトはこちらから。(外部リンクです) http://cinemalaysia.com/
結局、観れたのは、「理髪店の娘」・「水辺の物語」・「新世界の夜明け」・「The Collector」・「Bunohan」の計5本でした。気にいた映画の順番は、この順です。5本のうち、「理髪店の娘」・「水辺の物語」はダントツに良くて、3位~5位の映画は同列といった感じです。しかし、どれもレベルが高く、作り手の意気込みを感じる映画でした。
「理髪店の娘」・「水辺の物語」は、別途すでに一夜一話に掲載済みです。
よって、上位2本の概略を書いて、続いて3位~5位の映画について、まとめを書いてみたい。
◆「理髪店の娘」 監督:シャーロット・リム
孤独な者同士の親子。
互いに、言い争いはするものの、寄り添って生きてきた。
何があっても、これからも寄り添って生きていきたい。そう思う。口に出さない、ふたりの本音。ふたりでひとつ。どちらかが、欠けると成り立たない。
「詩」と言える映像のつくりだ。観る者をくぎ付けにする、その緊張感は、快感に近い。
シャーロット・リム監督が作り出す映像のトリコとなる観客は多いと思う。<全文はこちらから>
◆「水辺の物語」 監督:ウー・ミンジン
マレーシアの田舎、ある川の河口付近の静かな漁村が舞台。
フェイは父親と、川で細々とした漁の生活をしている。フェイの彼女リリは、近くの水産加工場に雇われ、魚の開きを作っている。リリはフェイが大好き。ふたりは結婚を考え始めていた。
ある日、人助けしたことが縁で、フェイはこの一家が経営する工場で働くことになる。この一家は、婿を探していた。ひとり娘スーリンと一緒にさせたい作戦が進む。フェイにとっては、まさしく棚からぼたもちであり、先の無い貧しさから逃れられる、そういう誘惑。一方、リリの事。フェイは揺れ、リリは、あまりの悲しみの中で・・・。<全文はこちらから>
◆「新世界の夜明け」 監督:リム・カーワイ
マレーシア出身のこの監督が、一年の多くは日本在住で、この立ち位置から大阪は通天閣のある新世界と言われる下町を舞台にして、どんな映画が観れるのか、興味津々でした。
予告編はこちらから。
http://www.youtube.com/watch?v=kcnyx8-RUeA&feature=youtu.be
登場人物の国籍設定は、北京の上流階層中国人の娘、新世界で古びた木造旅館を営む日本人一家、そしてこれらを繋ぐ人物として、中国からの留学生女性、天安門事件がきっかけかで母国を離れた在日中国人・中年女性と、中国語堪能な幼い息子、そして毛沢東ファンの段ボール製小屋の住人男性、さらには謎のサングラス男。
一方先日、映画 「同じ星の下、それぞれの夜」(監督:富田克也、冨永昌敬、真利子哲也)を観て、日本の監督たちの、アジアにおける国際感覚の無さにびっくりしたところだったので、期待しました。多民族が住むマレーシアの監督は、どんな作品をつくるのかと。
結果は、残念でした。監督の言いたいことが、そのまま、生なまま、直にセリフになって映画に出てきます。ああ、これじゃ稚拙で映画になりません。ですが、東アジアにおいての国際感覚を基盤に、「東アジアな映画」を作ろうとする狙いは、おおいに注目に値します。あらためて脚本をしっかり練って、再挑戦してもらいたい。
<一夜一話から>
・ 映画 「同じ星の下、それぞれの夜」の映画評 <こちらから、読んでください。>
この映画は3作品で構成されいますが、このうち、真利子哲也監督の映画「Fun Fair」だけが、本映画祭に出品されています。

・ 映画 「大阪の女」 監督:衣笠貞之助 主演:京マチ子
この映画は、新世界に、戦前から、大変たくさんの漫才師たちが集まり住んだ話ですが、彼らが実際に住んだ天王寺村に、写真のような古びた旅館があります。なんとこれが「新世界の夜明け」の舞台の旅館です。
戦前の天王寺村の人々が、映画「新世界の夜明け」を観たら時代の変化に驚くでしょう。<一夜一話の「大阪の女」の映画評は、こちらから読んでください。>
◆「The Collector」 監督:ジェームス・リー
手放しで笑えるアクション映画です。
完成度は、なかなかです。アジアのアクション映画のお作法を十分に踏襲していますので、観客は何も考え込まなくて、楽しめるのです。
予告編はこちらから。(外部リンクです)
http://www.youtube.com/watch?v=2ietYzHeprQ&feature=youtu.be
◆「Bunohan」 監督:デイン・サイード
いやいや難易度が、すごーく高い映画です。もちろん日本語字幕ありです。
マレーシアの多言語性と、地域や場面によって話す言語がスイッチングされる、そのタイミングと理由、その言葉のヒアリング的理解や、マレーシアの地域的な民族文化などが、分かっていないと、さっぱりです。だから、この映画はマレーシア国向けだと、思わざるを得ない。
マレーシアの監督と、永年マレーシアを研究する京都大学の学者さんが、壇上でトークしてましたが、私には、凄くマニアックな話にしか聞こえず、とても理解できないハイレベルな内容でした。
コッチは金払ってる観客だぞ!とムカツキました。が、で、そうか! と思い至りました。
こういった外国映画祭って、その国の言語に長けた方々や、その国に在住期間が長くて第二の故郷みたいになっている方々が多くお集まりになること、を思い出した。
わたしゃ、門外漢でした。
「シネ・マレーシア2013★マレーシア映画の現在」 ということで、オーディトリウム渋谷で開催されました。
公式サイトはこちらから。(外部リンクです) http://cinemalaysia.com/
結局、観れたのは、「理髪店の娘」・「水辺の物語」・「新世界の夜明け」・「The Collector」・「Bunohan」の計5本でした。気にいた映画の順番は、この順です。5本のうち、「理髪店の娘」・「水辺の物語」はダントツに良くて、3位~5位の映画は同列といった感じです。しかし、どれもレベルが高く、作り手の意気込みを感じる映画でした。
「理髪店の娘」・「水辺の物語」は、別途すでに一夜一話に掲載済みです。
よって、上位2本の概略を書いて、続いて3位~5位の映画について、まとめを書いてみたい。
◆「理髪店の娘」 監督:シャーロット・リム

互いに、言い争いはするものの、寄り添って生きてきた。
何があっても、これからも寄り添って生きていきたい。そう思う。口に出さない、ふたりの本音。ふたりでひとつ。どちらかが、欠けると成り立たない。
「詩」と言える映像のつくりだ。観る者をくぎ付けにする、その緊張感は、快感に近い。
シャーロット・リム監督が作り出す映像のトリコとなる観客は多いと思う。<全文はこちらから>
◆「水辺の物語」 監督:ウー・ミンジン

フェイは父親と、川で細々とした漁の生活をしている。フェイの彼女リリは、近くの水産加工場に雇われ、魚の開きを作っている。リリはフェイが大好き。ふたりは結婚を考え始めていた。
ある日、人助けしたことが縁で、フェイはこの一家が経営する工場で働くことになる。この一家は、婿を探していた。ひとり娘スーリンと一緒にさせたい作戦が進む。フェイにとっては、まさしく棚からぼたもちであり、先の無い貧しさから逃れられる、そういう誘惑。一方、リリの事。フェイは揺れ、リリは、あまりの悲しみの中で・・・。<全文はこちらから>
◆「新世界の夜明け」 監督:リム・カーワイ

予告編はこちらから。
http://www.youtube.com/watch?v=kcnyx8-RUeA&feature=youtu.be
登場人物の国籍設定は、北京の上流階層中国人の娘、新世界で古びた木造旅館を営む日本人一家、そしてこれらを繋ぐ人物として、中国からの留学生女性、天安門事件がきっかけかで母国を離れた在日中国人・中年女性と、中国語堪能な幼い息子、そして毛沢東ファンの段ボール製小屋の住人男性、さらには謎のサングラス男。
一方先日、映画 「同じ星の下、それぞれの夜」(監督:富田克也、冨永昌敬、真利子哲也)を観て、日本の監督たちの、アジアにおける国際感覚の無さにびっくりしたところだったので、期待しました。多民族が住むマレーシアの監督は、どんな作品をつくるのかと。
結果は、残念でした。監督の言いたいことが、そのまま、生なまま、直にセリフになって映画に出てきます。ああ、これじゃ稚拙で映画になりません。ですが、東アジアにおいての国際感覚を基盤に、「東アジアな映画」を作ろうとする狙いは、おおいに注目に値します。あらためて脚本をしっかり練って、再挑戦してもらいたい。
<一夜一話から>
・ 映画 「同じ星の下、それぞれの夜」の映画評 <こちらから、読んでください。>
この映画は3作品で構成されいますが、このうち、真利子哲也監督の映画「Fun Fair」だけが、本映画祭に出品されています。

・ 映画 「大阪の女」 監督:衣笠貞之助 主演:京マチ子
この映画は、新世界に、戦前から、大変たくさんの漫才師たちが集まり住んだ話ですが、彼らが実際に住んだ天王寺村に、写真のような古びた旅館があります。なんとこれが「新世界の夜明け」の舞台の旅館です。
戦前の天王寺村の人々が、映画「新世界の夜明け」を観たら時代の変化に驚くでしょう。<一夜一話の「大阪の女」の映画評は、こちらから読んでください。>
◆「The Collector」 監督:ジェームス・リー

完成度は、なかなかです。アジアのアクション映画のお作法を十分に踏襲していますので、観客は何も考え込まなくて、楽しめるのです。
予告編はこちらから。(外部リンクです)
http://www.youtube.com/watch?v=2ietYzHeprQ&feature=youtu.be
◆「Bunohan」 監督:デイン・サイード

マレーシアの多言語性と、地域や場面によって話す言語がスイッチングされる、そのタイミングと理由、その言葉のヒアリング的理解や、マレーシアの地域的な民族文化などが、分かっていないと、さっぱりです。だから、この映画はマレーシア国向けだと、思わざるを得ない。
マレーシアの監督と、永年マレーシアを研究する京都大学の学者さんが、壇上でトークしてましたが、私には、凄くマニアックな話にしか聞こえず、とても理解できないハイレベルな内容でした。
コッチは金払ってる観客だぞ!とムカツキました。が、で、そうか! と思い至りました。
こういった外国映画祭って、その国の言語に長けた方々や、その国に在住期間が長くて第二の故郷みたいになっている方々が多くお集まりになること、を思い出した。
わたしゃ、門外漢でした。
大阪を舞台にした映画をここに集めました。
(兵庫・和歌山・奈良も含めました)
【 一夜一話の歩き方 】
下記、タップしてお読みください。
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