映画「百万円と苦虫女」  監督:タナダユキ  主演:蒼井優、森山未來

上

結局、就活がうまくいかず、世間から置いてけぼりにされた短大卒の鈴子(蒼井優)。
ぼんやりとバイトの日々を送る彼女は、繊細なだけに今後の自信も目標もない。ただ漠とした疎外感、取り残され感を持つに至る。

家を出たかった。ルームシェアの話が舞いこみ、渡りに船で転居するが、シェア相手とのいざこざから、鈴子は器物破損で訴えられ、罰金が払えず東京拘置所に留置されてしまう。いや、世の中、一寸先は闇だ。世間から前科者扱い、家族は彼女を守ってやれない。でも出所して「娑婆ダバダ、シャバダバダ、パ~ダバ」ってスキャット口ずさめば、さらりと流せる・・・。

通帳ここに居づらい。とにかく百万円貯めて、家を出るんだ。貯金通帳に印字された金額をながめると落ち着く。頼るものが何もない中で、具体的な数字が安心をくれる。がむしゃらに働いた。そして、ついに貯まった1,000,000円。

組1-0






海が見える二階に部屋を借りれた。夏の海水浴場、海の家で働く。減った貯金がまた百万円になり、今度は山、桃の生産農家に住込みで収穫を手伝う。
現実逃避の旅である。行った先々で働くが、関わり合いは最小限に無口を通す。できるだけ「通りすがりの人間」でいたい。孤独な、この浮遊感が気持ちいい。そこが海、そこが山、それぞれ浮遊感の色合いが変わった。

下次は東京郊外に戻り、見知らぬ街の駅を降り、アパート借りて近くのホームセンターでバイトを始めた。ここでバイトの先輩・亮平(森山未來)に出会うことになる。
亮平を好きかもしれない。そう思ったとき、心の隅に抑え込んで来た悲しい気持ちが、ほどけ始める気配を鈴子は感じるのであったが・・・。そして。

蒼井優がいい。カメラがいい。タナダユキがいい。


監督・脚本:タナダユキ|2008年|121分|
脚本協力:黒沢久子|撮影:安田圭|
出演:鈴子:蒼井優|父:矢島健一|母:キムラ緑子|弟・拓也:齋藤隆成|
<実家の話と事件>バイト仲間・リコ:平岩紙|リコの彼氏で結果鈴子のルームメイト:弓削智久|刑務官:嶋田久作|刑事:鈴木達也|拓也の担任:江口のりこ|
<海>海の家の主人:斎藤歩|海の家のおかみさん:安藤玉恵|海の家の息子:宇都秀星|
<山>桃農家の絹さん:佐々木すみ江|桃農家の長男:ピエール瀧|上田村長:石田太郎|喫茶店のマスター:笹野高史|村民:青木和代|
<ホームセンター>先輩バイト亮平:森山未來|ホームセンターの新入り:悠城早矢|
道で


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こちらで、本作のような「静かな映画」(邦画編)を
厳選し、まとめています。
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一話一夜掲載の映画から、さまざまなテーマを掲げて特集しています。
第9弾のテーマは、「静かな映画  邦画編」
ガラスのように、壊れやすい映画ってある。
繊細で華奢で、語る声が小さい。
心ない誰かが、「辛気臭くて、つまんない。」と言った瞬間に、壊れてしまう。
心静かな時に観よう。

タナダユキ監督の映画
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お父さんと伊藤さん
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百万円と苦虫女
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モル
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マイ・ブロークン・マリコ
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さくらん(脚本担当)


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