映画「インポート、エクスポート」  監督:ウルリッヒ・ザイドル

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ウクライナとオーストリアの現実を、働く者の視点から活写した映画。
ウクライナ美人のオルガは、幼い子と母親との三人暮らし。看護師として働いているが、病院の一方的な給与カットが続き、生活が困窮している。ほかの仕事を探したが、結局はオーストリアへ単身出稼ぎに行くことになる。
一方、オーストリア人の男性ポールは肉体を鍛えるのに余念ないが、仏頂面で無口、いささか引きこもり系の男。仕事が続かず、今は無職。結局、義父の仕事を手伝うことになり、ポールと義父はウクライナの各地を車で巡ることになる話です。
 
オルガとポール、この二つの話は交互に語られるが、話が交わることないのですが‥。
総じて、説得力ある映像、筆圧が強いストーリー。厳しい現実やR15なシーンに、コミカルな語り口を添えて、独特な大人の映画にしている。
R15シーンに過剰反応すると、映画が言う事が見えなくなるのでご用心。
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まずは、ウクライナ人・オルガの話。
病院に勤務しながらアルバイト先を見つけた。Webカメラの前で、客とライブチャットしながら陰部を見せる仕事。見よう見まねで、仕事に就いてはみたものの、一回で辞める。
探したが国内にいい仕事が見つからず、子を母親に預け、友人を頼りにオーストリアへ出稼ぎに行くことになった。その友人は、オーストリア男性と偽装結婚し現地で仕事している。
オルガが友人から先ず紹介された仕事は、住込み家政婦。この邸宅の夫人は気位が高く同時に孤独と猜疑心に苛まれている。そんなトバッチリですぐクビになった。
そののち、友人が務める病院で、彼女と一緒に清掃婦の仕事に就けた。やっとこれで定期的な仕送りができるのであった。

この病院は、認知症老人のための、長期入院用ベッドがある療養型病院。つまり患者たちは、ここで死を待っている。仕事は病室の清掃や汚物の回収だが、持ち前の看護師魂が頭をもたげて来てたオルガは、患者たちと親身な接触をする。
患者のうち一人の男性が、結婚しようと言い出す。偽装結婚が頭をよぎったが、笑って受け流す彼女であった。ある日、ラジカセにダンス音楽を用意し、この患者と密かにリネン庫で、一緒に踊ってあげた。だが、翌日この老人が心臓発作で他界する。悔むオルガ。

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さて、オーストリアのポールの話。
ショッピングセンターの夜警をしていたが今は無職。金がない。借りれる友人から借金しまくっている。その中に義父もいた。「返せないなら俺の仕事を手伝え」 ということで、義父に付いてウクライナへ行くことになる。
極寒の中をふたりは車中泊しながらウクライナの各地を巡り、中古ゲーム機を納品し、現地のあちこちに置いたガムボール自販機から現金回収をする。
時にホテルに泊まる。暖房設備もおぼつかない安ホテル。義父は女好き。さっそくバーに行き、客の女に話しかけるが、言葉が通じない、もどかしい。義父はポールに助けを求めるが、ポールは母親思いで助けない。ホテルの部屋に戻ると、義父がコールガールを相手にSMごっこの真っ最中。「お前も加われ」と言われるが、その気になれないポールだ。なんやかんやがあって、ポールは義父とケンカ別れをしたが所持金がない。仕方なく、ウクライナで仕事探しを始めるのであった。

下






予告編だよ
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=hiICAIhfhjE


オリジナル・タイトル:Import/Export
監督:ウルリッヒ・ザイドル|オーストリア・ドイツ・フランス|2007年|135分|R15+|
脚本:ウルリッヒ・ザイドル、ベロニカ・フランツ|
撮影:エドワード・ラックマン、ボルフガング・ターラー|
出演:オルガ(エカテリーナ・ラック)|ポール(パウル・ホフマン)|
ミヒャエル・トーマス|マリア・ホーフスタッター|ゲオルク・フリードリヒ|エーリヒ・フィンシェス|

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ポールと義父が、たどり着いたウクライナの団地。 
スラム化している。
あちこちから子供が出て来て、車に取りつく。
ガムボールをばらまいて逃げる。
ガムを拾う子達がアパートの間から見える。
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オルガが務めるオーストリアの長期療養型病院。
昼夜なく、繰り返し念仏を唱えるような人、叫ぶ人。

ここでは、ウルリヒ・ザイドル監督の作品をまとめています。
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小説「おっぱいとトラクター」 マリーナ・レヴィツカ著
  母さんが死んで2年が過ぎた頃、父さんはウクライナ生まれのバツイチ金髪美女に入れあげた。84歳の父さんに対して、相手は36歳・・・。たとえるなら、ちゃらちゃらしたピンクずくめの手榴弾がいきなり我が家に飛び込んできたようなもの。こちらからどうぞ。  

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