映画「アンビリーバブル・トゥルース」  監督:ハル・ハートリー  (別名タイトル:ニューヨーク・ラブストーリー)

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  ここはニューヨーク州郊外、白人中産階級が住む住宅街。
  15年の刑期を終えて街に帰って来た男、ジョシュが巻き起こす静かな騒動を、映画はコミカルに描いています。
  
  ジョシュの罪は、彼の恋人の父親殺害で、その頃、ジョシュはまだティーンエイジだった。彼の出所を恐れたのは、当時の記憶がある中年以上。若い連中は言い伝えを知るくらいで、彼の出所に関心は薄い。 ジョシュの小さな家は今も残っているが、長い間空き家であった。金がない、とりあえず職に就きたい。
  その日、ジョシュは本を買いに入った店で、店番をする17歳の女性・オードリーに出会った。オードリーは、ジョシュに、見知らぬよそ者が持つ、いわくありげな雰囲気に魅かれてしまう。僅かな会話ののち、自動車修理工場の娘であるオードリーは、彼を修理工として雇うことを約束する。 
  翌日、そんなことは聞いていないオードリーの父親は、ジョシュを拒否する。だが、彼の修理工としての腕に惚れ込み、渋々だが採用を決める。
追1  オードリーのジョシュに対する気持ちは、彼女の両親も知るところとなるが、父親は大反対。一方、母親は事件のことは知りつつも、密かにふたりの間を取り持とうとする。ジョシュも彼女が好きになるが、まだ高校生の娘だ、彼は大人の判断で深入りしないままに日は過ぎた。
  さらに父親を心配させることが起こる。それは、大学進学するか否かのひと騒動。彼女の今後の進路について、親子があれこれやりあった挙句に、オードリーはモデルとしてNYで働くことになってしまう。雑誌に写真が掲載されて、父親も鼻高々で良かったが、ついにヌード写真も・・・。 最愛のひとり娘と、娘の危なげな行動を心配する父親との、コミカルな駆け引きが笑えます。



組組0  さて殺人事件とは何だったんだろう?
  ジョシュの恋人は、殺害事件の直前に死亡、そして父親は殺害された。そんな家族の悲劇を、ジョシュの恋人の妹は、幼いながらも見てきた。
  この街で、ジョシュの出所を一番強く感じたのは、実はこの妹である。そして、この街で、オードリー以上に、ジョシュに告白をしたいことを持ってるのは、実はこの妹であった。なぜなら、父親が階段から転落して死亡したのは、ジョシュが父親を押し落としたのではなく、事故だったのだ。幼い妹は、当時それを目撃していたが、警察に事故とは言わなかった。妹は、ジョシュに直に会って、彼の家に行ってこのことを告白した。告白したことで、永年の彼女の心の重荷が無くなって、その安堵感から彼女はジョシュの家で寝入ってしまう。 
  そこへオードリーが偶然やって来る。妹はオードリーと親友だ。戸惑うオードリー。実は、こともあろうに、この妹もジョシュに魅かれているのだった。
  一方、その頃、オードリーはもうモデルとして成功していて、マンハッタンのアパートでなかなか優雅な一人住まい。ここまで彼女を育て上げたモデルカメラマン兼マネジャーは、オードリーとの生活を望むが、彼女は未だに首を縦に振ろうとしない。有名になった今も、ジョシュを忘れられない。 最後は、ハッピーエンドです。
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  この映画の笑いどころ。
  可憐なオードリーは、コミカルな役どころでもあります。幼なじみの彼との、永遠にかみ合わぬ繰り返しのセリフの応酬が楽しい。また、ジョシュの関心を惹こうとする街のウェイトレスとの会話もそう。とりわけオードリーのパパは、一番の喜劇を演じます。その相手は娘やジョシュであったり、工場の修理工でもあります。エレキギターが活きます。
  ハル・ハートリーの長編デビュー作だそうです。だからか? 可愛い作品です。 
 
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オリジナル・タイトル:The Unbelievable Truth
監督・脚本:ハル・ハートリー|アメリカ|1989年|97分|
撮影:マイケル・アラン・スピラー|
出演:オードリー:エイドリアン・シェリー(1966年-2006年)|ジョシュ:ロバート・バーク|オードリーの父・修理工場経営者ヴィク:クリス・クック|ポール・シュルツ|デヴィッド・ヒーリー|マット・マロイ|イーディ・ファルコ|ビル・セイジ|


これまでに一夜一話で取り上げた監督作品を、ここにまとめています。
ぜひ、ご覧ください。
決めの決め (2)


特集:刑務所は出たけれどの物語
「刑務所は出たけれど」という切り口で、映画を集めました。
刑務所は出たけれど

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