映画「童年往事 時の流れ」  監督:ホウ・シャオシェン

  椅子に座ってスクリーンが絵解きするのを待つのが映画であれば、
  書物は、こちらから読む行動をとらなければ、何も語らない。 
  「童年往事 時の流れ」 は、後者に近い台湾の映画。スクリーンに映し出される、登場人物たちの何でもない日常から、作り手の意図を読みに行かねばならない。

  第二次世界大戦が終わり、蒋介石・国民党政府一派が中国共産党によって中国を追われ、ここ台湾に逃れた後に始まる中華民国と中華人民共和国との政治問題、そんな時代を背景とする話。
上  主人公・阿孝は中国・広東省で生まれた後、すぐに両親と姉兄・祖母の5人と共に台北に移住して来た。父の知人が、父のために公務員のポジションを用意してくれた事が、移住を決意する引き金であった。その後、病弱になった父は職と地位を手放し、転地療養のため台北を離れ、一家は田舎で暮らしはじめる。映画は、ここらへんから始まる。

  阿孝は小学校高学年くらい。父は一日、家にいる。祖母は徐々に認知症の症状が。姉は、母とともに一家の世話をする年ごろ。その後、阿孝の一家は家族が増え、四男一女になった。やがて父が病死、時をおいて母も病死。一家を取り巻く時代も変わっていく。
  姉が結婚し家を出る。そして、祖母と阿孝含め男兄弟4人だけの日々。長生きした祖母がついに老衰死。兄弟4人は、座敷に横たわる祖母の死をしばらく気付かなかった。次代を生きようとする兄弟たちは、家族としての足元をおろそかにしていたようだ。
  移住者が抱く望郷の念は、祖母・両親までで、子供たちにおいては、広東省での日々を記憶する姉のみであった。
  政変に巻き込まれ、台湾へ移住せざるを得なかった一家族の日々を丁寧に描くなかで、子たちの成長を中心に、祖母、親、子の3世代が持つ人生観の違いや、台湾の地に溶け込んでいく様子を映画は取り上げているが、映画は黙して多くを語らない。ので、観る者は自分で読み解いていくことになる。

  時代背景が近い映画として、エドワード・ヤンの「牯嶺街少年殺人事件(クーリンチェ少年殺人事件)」1991年がある。この映画のレビューはこちらから、どうぞ。
  

下オリジナル・タイトル:童年往来事|
英語タイトル:The Time To Live And The Time To Die |
監督:ホウ・シャオシェン|台湾|1985年|138分|
脚本:ホウ・シャオシェン、チュウ・ティエンウェン|撮影:リー・ピンビン|
出演:阿孝(アハ):游安順(ユー・アンシュン)|阿孝のガールフレンド:辛樹芬(シン・シューフェン)|阿孝の父親:田豊(ティエン・フォン)|阿孝の母親:梅芳(メイ・ファン)|阿孝の祖母:唐如韞(タン・ルーユン)|呉素瑩|陳淑芳|周棟宏|䔥艾|

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