映画「ゲンと不動明王」  監督:稲垣浩

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  子ども向けの本が原作の映画だが、大人も観てみよう。
  もちろん、子ども(ゲン)が主人公の映画だから、そのまんま、「なぜか懐かしい」郷愁と可愛らしさの児童文学な楽しさを味わうのもいい。


組0  だが、もう一歩踏み込んで、登場人物たちのセリフの背景にある 昭和25年頃の人々の心の持ちようや、風土や村社会、経済、衣食住の様子に注目してみよう。 
  60年前のことが、いかに遠くなったことか。まるで他国の様子をみるようだ。 今を生きる者にとって、原風景と言ってもいいかもしれない。一度、振り返ってみては いかがでしょうか。

  話は、木曽の田舎の寺、清閑寺が舞台。
  妻を亡くした住職(千秋実)は、長男ゲンと妹のイズミの三人世帯。ひとりで寺と子育てを切り盛りするが、寺の畑仕事まで手が回らない。村の寄り合いで再婚を薦められ、他村からバツイチのおその(乙羽信子)をもらうこととなった。世話をしたのは、本山・久遠寺の住職(笠智衆)だ。
  この再婚話には条件があった。それは、ゲンを里子に出すこと。おそのは、男の子を亡くしており、ゲンと生活するのを嫌った。里親(高橋とよ=小津映画の女将役)は、久遠寺そばの街の雑貨屋。ゲンに辛く当たる。
  一方、我慢がきかない おそのは寺の生活に嫌気がさして、実家に帰ってしまう。しかし、おそのに懐いたイズミが、おそのを呼び戻すことになる。
  ゲンは、久遠寺境内にある不動明王に励まされて、里子として前向きに生きることになる。(このゲンと不動明王の、教育的幻想シーンに特撮・円谷英二が絡んでいる)

  話の結末は、いかがなものかと思うが、全編において演技、撮影ともに、その素性がいい。すうっと立ち上がる素の良さ。そこに、笠智衆が現れると、何とも、しっくりハマります。

下監督:稲垣浩|1961年|102分|
原作:宮口しづゑ|脚色:井手俊郎、松山善三|特技監督:円谷英二|撮影:山田一夫|
出演:オッチャン(ゲンの父で清閑寺住職) 千秋実|ゲン 小柳徹|イズミ(妹) 坂部尚子|おその(後妻) 乙羽信子|久遠寺の和尚 笠智衆|大妻かね 高橋とよ|しょうちゅう屋のおばさん 千石規子|光子 浜美枝|原竹夫(中部バス運転手) 夏木陽介|すずめ屋のおばさん 東郷晴子|きりさ 菅井きん|安井 横山運平|小林 小杉義男|藤山 田武謙三|藤山の母 村田嘉久子|佐々木 稲葉義男|信一 土屋嘉男|徳平 谷晃|峠の茶屋のばあさん 飯田蝶子|音爺 左卜全|マサシ 奥村弘二|ハルキ 寺田耕司|不動明王 三船敏郎|

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